Brugada症候群と再会 

 以前のエントリでとりあげたBrugada症候群であるが、久しぶりに再会した。

 失神で受診した男性の心電図。Saddleback型のST上昇が明らかである。
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 少し遠くの病院に紹介したところ、EPSまでやっていただいて、容易にVFが誘発されたとのこと。

 Brugada症候群の有病率は思っていたより高いのかもしれない。Evidenceとは程遠い、一個人の感想であるが。


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フリーター医師、選別と淘汰の流れ? 

 早いもので、何の地縁も人脈もないこの地に移ってもうすぐ半年になる。時間の多くを研究に費やし、いろいろな方に不義理をしている。しかしそんな中でも、週に二日(一日半)の医者業は続けている。やはり、全く臨床をやらない生活になってしまうと、これまで身につけてきた診療の技術はどんどん失われていくだろうし、生活費を得なければならないという切実な現実もある。
 これまではよく知っている先生がいた病院で働いていたのであるが、この地では就職を斡旋してくれる人など全くいない。ろくに就職活動などしたことなどないので、インターネットで見つけた医師紹介サイトを使って職を探した。

 結局、神経内科外来と一般内科外来を二つの病院/診療所で担当させてもらえることになったのだが、最初の一、二ヶ月はなかなかペースがつかめず苦労した。特に、新しい場所で周囲の信用を得るのがどれほど大変かを痛感させられた。

 一般に、医師紹介サイトから来る非常勤医に対しては、病院側(特に常勤医)が全く信頼を寄せていないところも少なくないようである。彼らは、大手掲示板サイトで「ドロッポ」と呼ばれているような、臨床研修をまっとうせずに、あちこちの病院・診療所を転々として非常勤医として働き続けている医師たちに対して非常に厳しい視線を向けている。私もその一人として認識された状態で勤務を開始したのである。

 外来診療の合間に、後ろのカーテンの向こうからヒソヒソ声が聞こえてくる。「あの先生大丈夫? 変な処方出していない?」 また、昨今ジェネリック医薬品が急増したおかげで、病院によって採用されている薬の名前が大幅に異なるものだから、こちらもいちいち薬の本を見ながら処方箋を書くことになる。ただの本態性高血圧の患者さんの定期診察でも、診察についてくれる看護婦の視線を感じながら、本をわざわざ引いて調べて処方箋を焦りながら書くのは大きなストレスであった(電子カルテにいったん慣れてしまうと、手書きの処方箋で用量をいちいち間違えないように書くのは想像以上に大変である)。

 自分の専門分野でさえも、やっぱり苦労した。通院歴の長いパーキンソン病患者さんを聴診すると心雑音がシューシュー聴こえてきた。処方を見るとパーロデルをかなりの用量使っていて、心エコーをオーダーするところまではスムーズにいくのだが、念のため非麦角系agonistに変えようとすると、「あんたよりずっとベテランの先生がこの薬を決めてくれのだ、勝手に変えて欲しくない」と言ってくる。私は年齢よりは若く見えるようなのだが、これまでそれを特に不利に感じたことはなかった。でもこの地では違うようである。


 そんな出だしであったが、かなり緊張感をもってやってきたかいもあって、患者さんもだいぶこちらの意見を聞いてくれるようになり、常勤の先生からもコンサルトが来るようになった。そして、同時に見たのは同僚の「フリーター医師」の厳しい現実であった。
 
 私より少し後れて着任した高齢のdoctorは、隣のブースで???な説明を繰り返していた。曰く、「風邪をこじらせているようなので、強力な(この先生はbroad spectrumのことをこう言って憚らなかった)抗生剤が必要です。」、「下痢をしている時は食事はもちろん、飲み物もやめておきましょう。点滴をして、下痢止めをお出ししておきます。」 また、ある女医さんは、どこをどう見たらそんな所見に見えるのかというような心電図コメントを書き続けていた。この二人はもうこの病院にいない。看護婦さんによると、院長と事務長に囲まれて、「もう来なくていいです」の一言で失職が決まったそうである。

 彼らは今どうしているのであろうか。現在は、医師不足が様々な地域で深刻な問題になっており、働く場所を選ばなければまたどこかに医師として就職できるのだろう。しかし、そんな状態が未来永劫続くわけはないし、また続くことは許されないであろう。

 卒後臨床研修が必修化された後の研修医の先生たちは、我々の世代よりも学位志向が明らかに乏しくなった代わりに、臨床的なスキルについては遥かに貪欲に身につけようとしている。医学生時代の教育も厳しくなっており、また医師になってからの研修システムも年を追うごとに体系的に整えられてきている。彼らは医局に縛られるような生き方を嫌っており、将来的に「フリーター医師」になる人も多いだろう。また、国策としても、厚生労働省もようやく医師不足を認めるようになり、中長期的には医師の絶対数は確実に増えるであろう。その時、大した努力もせずに「フリーター医師」を続けている旧世代の医師の居場所はあるだろうか? 彼らが市場原理が支配する世の中で生き残れるとは到底思えない。そして、自分も容易に彼らと同じような位置に置かれうるということもうすうす感じ始めているのである。


 

中国についての小考と年末のテロ 

Horrifying news came in...

 先程テレビを見ながら、タレントの中国紀行ともう10年前になる自らの旅を重ね合わせて感傷に浸っていた。あの夏、私は北京から昆明に入り、西安からシルクロードを辿ってウルムチに至り、広州へ飛んで香港へと下った。
 広大な大陸に13億人が暮らすかの国は、地域によって驚くほど異なる顔をもっていた。沿岸部はすでに開放政策の恩恵を受けて建設ラッシュに沸いていたが、西安などの内陸部は「20年遅れている」と公然と言われるほど、街全体が沈んだ雰囲気に満ちていた。人々も多様である。漢民族が九割以上を占めるが、金髪碧眼のカザフ族もいれば自然の要塞のような場所に暮らす雲南省の少数民族もいる。私の行かれなかったチベットは高山に隔てられ、カリスマ的宗教指導者がいる。これだけの国をまとめて一つの方向に進めるのは殆ど不可能に思われた。
 その後10年の間に中国は大きく変わった。市場経済化が急速に進み、世界的な資源投機の流れとともに、一気に経済大国への階段を駆け上がった。その軍事力と合わせ、世界に与える影響力はすでに日本を凌駕すると言っても決して過言ではないだろう。そして、発展とともに元々大きかった格差はさらに何倍にも増幅している。
 北京オリンピック後必ず訪れるであろう過熱した経済成長の調整は、昨今のバブル的な投機といずれ来るべき元高を考えると、軟着陸できない可能性も相当あるだろう。その時、広がった格差と情報力を手に入れた人民はどう反応するのだろうか? アメリカが住宅バブルで躓いた直後に中国に何かあったら、世界経済は立ち直れるのだろうか? もっとも、それはかえって歪みに歪んだカジノ経済を反省するよい機会になるかもしれない。

 こんなことをとりとめもなく考えていたら、臨時ニュースのテロップが流れた。パキスタンのブット元首相が暗殺されたらしい。少なくない数の支持者も犠牲になったようだという。
 核兵器を保有するこの国は、軍人が政権を握り、反対者は軟禁されるだけでなく、容赦ないテロの標的となる。
 科学技術の発展に比べ、それを使う人間はなんと愚かな存在にとどまっているのであろうか。
 20世紀半ばぐらいまでは無条件に進歩的歴史観を有していた人は少なからずいた。しかし今日ではそんなことを真面目に信じている人にはなかなかお目にかかれない。人間は人間以上の存在にはなり得ないのだ。こう言うと悲観的に過ぎるように聞こえるだろうか。

年金記録を確認! 

 医者は転勤が多い。医局に属している多くの勤務医は、一から数年単位(ひどいところだと月単位)で大学と関連病院間をコロコロ転がされるし、そうでなくても技術の習得や多彩な症例の経験を求めて数年で勤務先を変えることが非常に多い。
 そして、そういう医者にとって、昨今の年金記録の問題はヒトゴトではないだろう。なにしろ、転勤を繰り返して異なる年金制度に異動するほど、年金記録が失われるリスクが高いというのだから・・・。

 これは私にとっても大問題である。医局の後ろ盾もなく、高齢学生をしながらビンボー・フリーター医師生活を続けている者が、ある日突然GBSとかtransverse myelitisに罹患して働かれなくなってしまって、年金も払ってなかったことにされてしまったら・・・。考えただけでもゾッとする。

 そんな訳で、社会保険庁のホームページから年金記録の確認を申し込んで、先日ようやくパスワードが届いて確認することができた。

 結果は・・・

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A tribute to 坂井泉水 

外来を終えて海辺を"8"で走った。
風がやや強かったが、窓を大きく開けて。

昨晩本棚の隅から探し出しておいたZARDの『もう探さない』をCD用スリットに入れた。
何曲目だったかな・・・。何曲か頭出しして、4曲目。『ひとりが好き』を繰り返し、繰り返し聴いて、一緒に口ずさんだ。
あまりpopularではないかも知れないが、個人的に好きな曲。

坂井泉水はとりたてて、歌唱力が優れている訳ではない。
それでも不思議と引き込まれていってしまう。

やはり、90年代という不安定な時代に出てきたバンドには、identityの確立に苦しんだ大学時代の6年間を勝手に投影してしまうのである。
これも一つの同時代性。

そして、私も通ったあの非常用スロープから、坂井泉水は転落してしまった。

神経学会総会2007 

 もう少し古いネタになるが、先週神経学会総会に出かけてきた。といっても、自ら発表するのではなく、半分以上は専門医認定更新用の点数稼ぎのためである。ただ、registrationだけしてすぐ帰ってしまうのでは、忙しさを理由に勉強しない町のお医者さんと同じになってしまう。参加費\15,000也を収めて何も得られないのではやっぱり悔しい。直前まで日帰りにしようか泊まろうか悩んだのであるが、結局名古屋近郊に泊まって3日間参加した。
 (これは全くの余談だが、名古屋中心部のホテルは、当地の景気を反映してかどこも満室だったので、仕方なく近郊のビジネスホテルを探した。耐震偽造問題で建て替えを余儀なくされたというエピソードにマスコミ的興味を抱いてセンターワンホテル半田に泊まったのだが、これは思いがけず当たりであった。)

 三重大学の葛原先生の主催ということで、会場は名古屋国際会議場であった。だいたい毎年会長を務められる先生の地元で開催されるのであるが、葛原先生は三重ではなく、名古屋を選んでくださったので、関東から出かける身には大変ありがたかった。これも葛原先生のお人柄だろう。バイオリン演奏を延々と聴かせるどこかの老教授とは大違いである。

 学会の中身は・・・というと、例年通り玉石混交である。臨床の第一線から離れている身としては、Alzheimer病のamyloid画像や、神経伝達機能の画像評価、frontotemporal dementiaの知見の進歩などは本当に刺激的であった。また、変性疾患のモデル動物作成も着々と進行しているようで、この分野の競争の激しさを改めて感じた(最終日に東大の辻先生がDRPLAモデルを元にreviewしていたが、辻先生はgeneticsだけでなく科学者として本当に優秀な方だと改めて感服した)。

 しかし・・・ポスター発表は、興味深いもの、スルドイものが2割くらいある反面、これが学会発表できるレベルのものか、と言いたくなるようなものも半分くらいは混じっていた。これはヒドイ。「発表した」という事実だけを求めて発表している輩がかなりいるのである。これでは、真剣にデータを集めて、吟味して演題を出している先生方の迷惑である。はっきり言って、せっかくの宝を大量のゴミに埋もれさせてしまうようなものである。
 これはやはりプログラム委員の先生方の責任であろう。フリーター医師にはわからない政治的に難しいところがあるのかもしれないが、これでは神経学会総会の存在意義が問われてしまう。ただでさえ、AAN (American Academy of Neurology)のannual meetingの裏番組に成り下がりつつあるのだから・・・。ちなみにそのAANは、応募してくる演題の半分以上を落としているそうである。大いに参考にするべきであろう。

 ま、この玉石混交問題は例年通りなので、葛原先生を責めるべきではない。寧ろ、葛原先生の総会を改革しようとする姿勢はあちらこちらで感じられた。特に象徴的なのは、「変貌する日本の医療:これからどうなる・これからどうする」と題した二木立先生の講演を第1会場で行ったことである。伝統的に神経内科のエライ先生は過度に学究的であろうとして、世の中の診療の実際的な面から目を逸らしてノホホンとする傾向にあった。そして特に学会の場でこういう講演が出るのは例外中の例外である。ただ、これは神経学会が変わろうとしているからだけでなく、むしろ日本の医療が崖っぷちに立たされていることも大いに影響している。この話題についてはまた触れたいと思うが、
 ・日本の医療費はもっと削減すべきなのか
 ・医者の数は十分なのか
 ・日本国内での医療格差はどうなっているのか
  etc
について、世論の中心となっている20-60才の一般の人々と、医療関係者や患者となる高齢者・障害者の認識のズレが大きく開いており、これ以上医療行政の舵取りを誤るとトンデモナイことになりそうだということは指摘しておきたい。

Long time no see! 

 皆様、すっかりご無沙汰してしまいました。
 更新不定期宣言はしていたものの、桜が咲き誇る季節に、まだクリスマスのテンプレィトとは・・・。本業の方で忙しくしていたとはいえ、ちょっと恥ずかしいです。

 クリスマスのテンプレィトのまま、このエントリを書くのは、せっかくコメント(質問)をしてくれた人がいたことに気付いたからです。年末年始にかけて、なぜか(おそらく海外のサイトから)スパム的なコメントが多く入ってうんざりしてしまって、自分でもこのページを見ていなかったためこんなにお返事が遅れました。申し訳ありません。

 質問は非公開の形でされていますが、質問に直接返答するにはe-mailをお送りしなければならないようです。しかし、このサイトは病院での診療に触れることもあり匿名性を維持したいと考えていること、そして質問の内容は専門医試験についてなのですが、一部の有力医局に情報が偏在している現状を少しでも改善したいとの思いもあることから、ここで質問していただいた方に迷惑のかからないようにお返事させていただきたいと思います。

ご質問は

> 神経学会の専門医試験受験の準備で、10症例のサマリーのこと
> なのですが、臨床神経の規定を読むと9ポイント字で50字×
> 48行となっております。2400字程度となりますが、実際の
> 用紙に設定して記入してみますと、かなり細かなものになります。
> 学会誌の短報程度のレベルの内容まで細かく記載するほうがよい
> のでしょうか。

というものでした(一部改変)。
もしかしたら、もう間に合わないかも知れませんが、とり急ぎお答えします。

 確かに、この文字制限では、内科学会用のサマリほど記述できないと思います。診断の根拠となる所見・データを記載すれば充分だと思います。ただし、鑑別診断の思考過程がわかるように、ネガティヴな所見についても重要なものは記載すべきと考えます。
 面接試験ではこのサマリの中から試験官の先生がいくつか選んで内容について説明してきますので、流れがわかりやすいもの(ただし、専門医試験でわざわざとり上げるだけの価値があると考えられるもの)の方が楽かもしれません。

富士山定点観測(その3) 

 昨日の関東地方は凄まじい雨風でした。
 まさに冬の
 北日本の方は今日も大荒れのようですね。

 関東地方はようやく晴れて来ました。
 
 富士山も夜明けとともに顔を出しました。
 ってことで、富士山定点観測シリーズその3です。

 富士山が見えてきました・・・。

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 青空がどんどん広がっていきます。

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 今年もあとわずか。
 よい1日を!

クリスマス・イヴにK倉散歩 

 今日はクリスマス・イヴである。
 目覚めた刹那、今日は静かな良い一日を迎えたいと思った。キリスト教徒でもないのに不思議なものである。日曜日であり、病棟を離れた今、緊急呼び出しを受ける心配もない。

 朝方、空は澄みわたり、冷たいそよ風が心地よい。こんな日に何も好き好んで人でごった返す横浜や東京に出かけることもない。久しぶりに近くを散歩した。

 出かけてすぐの所にあるのが安国論寺鎌倉時代の初期には北条時政の屋敷があったとされるが、1253年鎌倉に入った日蓮上人が初めて草庵を結んだ所の一つと言われる。日蓮上人はこの草庵で『立正安国論』を著して前執権・北条時頼に建白し問題となった。その聖跡が寺となって残っているのである。

 ポケットに例のSH902iSを入れていたので、早速1枚撮影。

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朝焼けの富士山 

おはようございます。

朝焼け富士山(定点観測・・・っていっても掲載2回目)です。

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Festive seasonってことで、テンプレートとプロフィール画像を変更しました。


ちなみに、筆者の似顔絵はこんな感じです。ブヒッ!
   ↓
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